2026年09月02日
契約書・規約作成におけるAIの上手な使い方
最近、お客様から「この契約書案、AIで作ってみました。内容を見てもらえますか」と言われる機会が増えてきました。
私も、その契約書案をAIに送って内容を確認します。
では、お客様もAIを使い、私もAIを使うのであれば、何が違うのでしょうか。
違いの一つは、AIへの「問いかけ」です。
私は契約書案をAIに読み込ませて、「この契約書をチェックしてください」だけで終わらせることはありません。
「この点が落ちていないか?」
「このビジネスであれば、○○に関する条項が必要ではないか?」
「この条項と実際の業務の進め方は矛盾しないか?」
「この条件で途中解約された場合、どのような問題が起こるか?」
「相手側から見た場合、この条項を受け入れることができるか?」
このように、さまざまな角度からAIに問いかけます。
そして、AIから返ってきた回答に対して、さらに質問します。「それはなぜですか?」「このケースではどうですか?」「別の方法はありませんか?」と対話を続けます。
AIの能力を引き出すのは、このやり取りです。
契約書には、書いてある条項を確認する仕事と、「書いていないこと」を見つける仕事があります。
むしろ難しいのは後者です。
契約書に書かれている文章であれば、AIはかなり上手に分析してくれます。しかし、本来必要なのに書かれていない条項は、その論点についてAIに考えさせなければ見つからないことがあります。
そのためには、ビジネスの仕組みを理解し、「この場合はどうなるのだろう」「このリスクについて決めておかなくてよいのだろうか」と問いを立てる必要があります。
これは契約書をゼロから作る場合も同じです。
「業務委託契約書を作ってください」とAIに入力すれば、それらしい契約書はすぐにできます。
しかし、本当に重要なのは、その次です。
契約期間はこれでよいのか。
中途解約はどうするのか。
追加業務が発生した場合はどうするのか。
成果物の権利は誰が持つのか。
秘密情報はどこまで含めるのか。
再委託を認めるのか。
想定外の費用が発生した場合は誰が負担するのか。
こうした問いを一つずつAIに投げかけながら、契約内容を詰めていきます。
つまり、AI時代の契約書作成で重要になるのは、「文章を書く能力」だけではありません。
「何をAIに聞くか」という能力です。
AIが同じでも、プロンプトが違えば、出てくる答えは変わります。さらに、最初の回答からどのように質問を重ねていくかによって、検討の深さも大きく変わります。
そして、AIの回答が正しいか、その提案を契約書に採用すべきかを判断するのは人です。
私は、AIを契約書作成の非常に優秀なパートナーだと考えています。だからこそ、積極的に使います。
AIに契約書を書いてもらう。
AIに契約書をチェックしてもらう。
AIにリスクを考えてもらう。
そして、さらに問いかける。
「この点が落ちていないか?」
「この条項は本当に必要か?」
「ほかに考えておくべきことはないか?」
AIとの対話を繰り返しながら、契約書を完成させていきます。
AI時代になって、契約書を作ることはずいぶん簡単になりました。
その一方で、「何を決めるべきか」「何を確認すべきか」「AIに何を問いかけるべきか」という力は、これまで以上に重要になっています。
ブルーバード行政書士事務所では、AIを積極的に活用しながら、行政書士としての契約実務の知識と、実際のビジネスの仕組みを考える視点を組み合わせて、契約書や規約の作成・チェックを行っています。
AIを使うか、専門家を使うか。
その二者択一ではありません。
AIを使いこなす専門家と一緒に、より良い契約書を作る。
これも、AI時代の契約書作成の一つの形だと考えています。
特に「契約書には、書いてある条項を確認する仕事と、『書いていないこと』を見つける仕事がある」という部分が、今回の記事の核になると思います。これは専門家がAIを使う価値を非常に分かりやすく表しています。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 契約書、法律
2026年08月31日
事業は勝手に大きくならない。そこには必ず「決断」がある
ほかっておいて大きくなった会社はありません。人を増やす。店を拡張する。新しい設備を導入する。新商品をつくる。新しい地域へ進出する。法人を設立する。新しい事業を始める。事業が一段階大きくなるときには、必ずその前に何らかの「決断」があります。
売上が増えたから人を増やしたのではなく、「これからも仕事が増える」と考えて採用を決断する。店が狭くなったから拡張するのではなく、「もっとお客様を増やせる」と考えて投資を決断する。設備が必要になったから買うのではなく、「この設備を使って生産性や売上を高める」と考えて導入を決断する。
もちろん、その決断が必ず成功するとは限りません。人を採用すれば、人件費が増えます。店舗を拡張すれば、家賃や設備費が増えます。設備を導入すれば、資金が必要になります。新しい事業を始めれば、思ったように売れない可能性もあります。
だから、決断には覚悟が必要です。経営者にとっての覚悟とは、無謀に賭けることではありません。リスクを理解したうえで、「それでもここで進む」と決めることです。
「いや、自分はそんな決断をした覚えはありません。他者の言うがままに従っただけです」とおっしゃる方もいるかもしれません。取引先から「もっと作ってほしい」と言われた。金融機関から新しい設備を勧められた。知人から新しい事業に誘われた。お客様から新しいサービスを求められた。その結果、事業が大きくなった。
確かに、チャンスを持ってきたのは自分ではないかもしれません。しかし、そのチャンスに乗ると決めたのは自分です。
世の中には多くのチャンスがあります。しかし、すべての人がそのチャンスに乗るわけではありません。「今はやめておこう」「もう少し様子を見よう」「失敗したら困る」と見送ることもできます。その中で、「やってみよう」と決めた。そこには、やはり決断があります。
そして、決断にはタイミングがあります。どれだけ良い話であっても、いつまでも考えていることはできません。お客様も、取引先も、市場も、チャンスも待ってはくれません。
「もう少し様子を見よう」と考え続け、結局何もしなかったのであれば、それは実質的には「やらない」と決断したことと同じです。
もちろん、何でもすぐに決めればよいわけではありません。情報を集め、数字を確認し、リスクを考えることは必要です。しかし、経営には、すべての情報がそろうまで待てない場面があります。最後は経営者が決めなければなりません。
起業も同じです。「いつか起業したい」「売上が増えたら法人にしたい」「仕事が増えたら人を雇いたい」「余裕ができたら新しいことを始めたい」。しかし、「いつか」「増えたら」「余裕ができたら」と考えているだけでは、未来はなかなか変わりません。
先に決めるから、行動が変わります。人を採用すると決めるから、その人件費を払うための売上を考える。店舗を広げると決めるから、集客を考える。設備を導入すると決めるから、その設備をどう利益につなげるかを考える。法人をつくると決めるから、会社としてどのように事業を成長させるのかを考える。
決断が先で、成長が後です。事業が大きくなったから決断するのではありません。決断したから、その次の成長が始まることがあります。
もちろん、決断すれば必ず成功するわけではありません。それでも、ほかっておいて大きくなった会社はありません。どこかの時点で誰かが、「やる」と決めています。その決断を引き受けることが、経営者の覚悟です。
【ブルーバードビジネスデザイン株式会社からのお知らせ】
ブルーバードビジネスデザイン株式会社では、起業支援、法人設立支援、ビジネスモデルの構築、事業計画策定、契約書・規約作成などを通じて、事業の仕組みづくりを支援しています。経営には、「何をするか」を考えるだけでなく、「いつ決めるか」という視点も重要です。構想を具体的な事業へ変え、その決断を実行できる仕組みまで一緒に考えます。
【『起業のための100問100答』発売中】
起業では、正解を知ること以上に、自分で考え、自分で決めることが求められます。『起業のための100問100答』は、100の問いを通じて、事業の目的、顧客、商品、価格、営業、資金、法人化などについて自分なりの答えをつくり、起業に必要な判断軸を整えるための実践ガイドです。
【『共同経営のための100問100答』発売中】
共同経営では、「誰が何を決めるのか」を曖昧にしないことが重要です。『共同経営のための100問100答』では、役割、権限、意思決定、出資、利益、将来の方向性などを整理し、共同経営に必要な「人とお金と仕組み」を整えていきます。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 起業相談
2026年08月28日
AI時代の働き方改革──人間の時間をどう再設計するか
AIによって仕事が効率化されたとき、その「浮いた時間」はどこへ行くのでしょうか。
「AIで仕事を効率化する」という一般的なAI活用論から一段進み、AIによって生まれた時間を、人間が何のために使うのかという問題を考える必要があります。
「AI時代の本当の生産性向上とは、同じ時間で仕事量を増やすことだけではなく、人間の時間をより価値の高い活動へ再配分することである。」
ILO(国際労働機関:労働や雇用に関する国際基準の策定や調査・政策提言を行う国連の専門機関)は、生成AIの影響について、仕事そのものの消滅よりも、仕事を構成するタスクの変容が中心になる可能性を指摘しています。
ここから重要な問いが生まれます。
「AIが浮かせた時間は、どこへ行くのか?」
【1.これまでの生産性向上】
従来の生産性向上は、単純化すると、「10時間かかっていた仕事→改善→8時間でできる→余った2時間でもっと仕事をする」という「効率化→処理量増加」の発想でした。
AIをこの延長線上だけで使えば、「AI導入→仕事が速くなる→さらに仕事を増やす→AIによって人間がもっと忙しくなる」という結果にもなり得ます。
【2.AI時代は「時間の再配分」を考える】
例えば、8時間かかっていた仕事がAIによって6時間になったとします。問題は、「残り2時間で何件仕事を増やせるか」だけではありません。「その2時間を何に使うのか」を考える必要があります。
人間の時間の再配分先として、大きく5つが考えられます。
�@考える時間
�A人と向き合う時間
�B学ぶ・試す時間
�C休む時間
�D「わざわざ」する時間
【3.考える時間】
現代の職場では、意外なほど「考える時間」がありません。メール、会議、資料作成、報告、入力、確認、チャット、検索などを処理しているだけで一日が終わることもあります。
しかし、本来の仕事には、「そもそも、これは必要なのか」「もっと良いやり方はないか」「顧客は本当は何を求めているのか」「半年後、何が起こるのか」と考える時間が必要です。
AIは、そのための時間を取り戻す道具になり得ます。
【4.人と向き合う時間】
AIによって、議事録、資料、メール、情報整理などの時間を短縮できれば、その時間を人との関係に振り向けることができます。
部下と話す。顧客を訪問する。現場を見る。相談に乗る。雑談する。
数字だけを見れば「非生産的時間」に見える活動でも、組織や顧客との関係において重要な意味を持ちます。
「AIで人間関係を減らす」のではなく、「AIで事務作業を減らして、人間関係に時間を戻す」という発想です。
【5.学ぶ・試す時間】
AI時代には、正解を知っていることだけではなく、「試す→失敗する→学ぶ→修正する」という循環を回すことが重要になります。
AIを試す時間、新しい仕事の方法を考える時間、他部署の仕事を知る時間、学習する時間などを、企業が意図的に確保する。これも「余白の設計」です。
【6.休む時間】
AIによって2時間の余裕が生まれても、その2時間すべてを別の仕事で埋める必要はありません。
早く帰る。有給休暇を取りやすくする。休憩をきちんと取る。仕事から心理的に離れる時間を確保する。
働くことを「吸う」、休むことを「吐く」とすれば、どちらか一方だけでは呼吸は成り立ちません。息を吐く時間は、止まっている時間ではなく、次に吸うための、なくてはならない時間です。
「AI導入のROI=売上増加・コスト削減」だけではなく、「人間の時間をどれだけ取り戻したか」という評価軸も考えられます。
【7.「わざわざ」する時間】
AI時代には、「わざわざ」という行為の価値が高まる可能性があります。
「速い・安い・正確・便利」という価値は、次第にAIや機械によって提供されるようになります。
その一方で、「時間をかけてくれた」「会いに来てくれた」「一緒に考えてくれた」「話を最後まで聞いてくれた」「頼んでいないところまで考えてくれた」という行為には、別の価値があります。
「効率化によって、非効率を選べるようにする。」
非効率をすべてなくすのではありません。「価値のない非効率」をAIで減らし、「価値のある非効率」を人間に残す。AI時代の働き方を考える上で、重要な視点です。
【8.「余白」は無駄なのか】
人間の能力を100%稼働させることが、必ずしも最適とは限りません。社員の予定が朝から夕方まで完全に埋まっていれば、突発的な相談、新しいアイデア、顧客への追加対応、部下への声掛けなどが入り込む余地がなくなります。
「余白=無駄」ではなく、「余白=変化に対応する能力」と考えることもできます。
【9.「働き方改革2.0」へ】
これまでの働き方改革では、残業削減、有給休暇、柔軟な働き方、生産性向上などが中心となってきました。
AI時代には、そこからさらに進み、「人間の有限な時間を、企業として何に使うのか」まで考える必要があります。
「労働時間管理→時間削減→時間創出
→時間再配分→人間価値の最大化」という発展です。
AI・DX → 定型業務・処理業務を減らす
→ 人間の時間を取り戻す
→ 考える・人と向き合う・学ぶ・試す・休む・わざわざする
→ 判断・創造・信頼・成長
→ 企業価値・人的生産性の向上
これは単なるAI活用論ではなく、「AI時代の人的資本経営」にもつながります。
問うべきなのは、「AIが人間の仕事を奪うのか?」だけではありません。
「AIによって取り戻した時間を、人間は何に使うのか?」
AIは、人間にさらに多くの仕事をさせるためだけの道具ではありません。人間が考え、学び、人と向き合い、休み、ときには誰かのために「わざわざ」動くための時間を取り戻す道具にもなり得ます。
「価値のない非効率をAIで減らし、価値のある非効率を人間に残す。」
AI・DX・働き方改革・休み方改革・人的資本経営・人材育成。これらを「人間の時間をどう再設計するか」という一つの視点から考える時代が始まっています。
ブルーバードデザイン株式会社
ブルバード行政書士事務所
NPO法人ブルーバード
posted by itoh_gyosei at 00:00| 事業経営
2026年08月26日
契約書と言う名前の書類の重要性
契約書という名前の書類には、実はいくつもの役割があります。法律上の権利や義務を定める書類であることはもちろんですが、ビジネスという視点から見ると、それだけではありません。
契約書は「サービス説明書」です。
何を提供するのか。どこまで対応するのか。料金はいくらなのか。いつからいつまで提供するのか。追加サービスはどうするのか。契約を終了する場合はどうするのか。良い契約書を読めば、その会社が提供するサービスの内容や仕組みが分かります。逆に、契約書を作ろうとしてサービス内容をうまく書けないのであれば、サービスそのものが十分に整理されていない可能性もあります。
契約書は「サービスPR書類」でもあります。
契約書には、その会社がお客様に対して何を約束するのかが書かれています。「ここまで責任を持って対応します」「このような品質でサービスを提供します」「このような条件でお客様をサポートします」。こうした内容は、そのままサービスの価値になります。
分かりやすい例がジャパネットです。ジャパネットは「分割金利・手数料はジャパネットが負担」と明確に打ち出しています。これは契約上は支払条件の一つですが、お客様から見れば大きなセールスポイントです。実際、ジャパネットは現在もこの条件を「安心サービス」の一つとして積極的にPRしています。
つまり、契約条件そのものが商品の魅力になるのです。
「初期費用無料」「解約手数料不要」「○年間保証」「追加料金なし」「一定期間の無償サポート」なども同じです。契約書に記載する条件の中には、お客様にとって魅力的なものがたくさんあります。
自社の権利と相手の義務ばかりを並べるのではなく、「当社はお客様に何を約束するのか」という視点で契約書を見ると、契約書そのものがサービスの魅力を伝えるPR書類になります。
契約書は「仕事のマニュアル」でもあります。
契約書に書かれている約束を実際に実行するのは、自社の社員です。業務範囲、納期、報告方法、情報管理、追加業務への対応、トラブルが発生した場合の対応など、契約書には仕事を進めるためのルールが書かれています。つまり、契約書をきちんと作ることは、お客様との約束を決めると同時に、社員の仕事の進め方を決めることでもあります。
そして、
契約書は「営業のゴールとなる書類」です。
営業マンの仕事を突き詰めれば、お客様に商品やサービスの価値を理解していただき、納得して契約書に印をいただくことです。
どれだけ素晴らしいパンフレットを作り、丁寧なプレゼンテーションを行っても、最後に提示された契約書がお客様に不安を与える内容であれば、それまで積み上げてきた営業活動を台無しにしてしまうことがあります。
だからこそ、契約書は営業部門とも無関係ではありません。「この内容なら安心して契約できる。」そう思っていただける契約書を作ることは、営業活動そのものなのです。
契約書という一つの書類を、法律文書という視点だけで見るのはもったいないと思います。
サービス説明書であり、サービスPR書類であり、社員が仕事をするためのマニュアルであり、そして営業活動のゴールとなる書類です。
だからこそ、契約書には、その会社のビジネスそのものが詰まっています。
良い契約書を作ることは、良いビジネスの仕組みを作ることにつながります。
ブルーバード行政書士事務所では、法律上必要な条項を整えるだけでなく、サービス内容、営業、実際の業務運用まで考えた契約書づくりを大切にしています。
契約書を「法律のための書類」から「ビジネスに活かす書類」へ。
契約書の作成・見直しについて、お気軽にブルーバード行政書士事務所までご相談ください。
契約書は「サービス説明書」です。
何を提供するのか。どこまで対応するのか。料金はいくらなのか。いつからいつまで提供するのか。追加サービスはどうするのか。契約を終了する場合はどうするのか。良い契約書を読めば、その会社が提供するサービスの内容や仕組みが分かります。逆に、契約書を作ろうとしてサービス内容をうまく書けないのであれば、サービスそのものが十分に整理されていない可能性もあります。
契約書は「サービスPR書類」でもあります。
契約書には、その会社がお客様に対して何を約束するのかが書かれています。「ここまで責任を持って対応します」「このような品質でサービスを提供します」「このような条件でお客様をサポートします」。こうした内容は、そのままサービスの価値になります。
分かりやすい例がジャパネットです。ジャパネットは「分割金利・手数料はジャパネットが負担」と明確に打ち出しています。これは契約上は支払条件の一つですが、お客様から見れば大きなセールスポイントです。実際、ジャパネットは現在もこの条件を「安心サービス」の一つとして積極的にPRしています。
つまり、契約条件そのものが商品の魅力になるのです。
「初期費用無料」「解約手数料不要」「○年間保証」「追加料金なし」「一定期間の無償サポート」なども同じです。契約書に記載する条件の中には、お客様にとって魅力的なものがたくさんあります。
自社の権利と相手の義務ばかりを並べるのではなく、「当社はお客様に何を約束するのか」という視点で契約書を見ると、契約書そのものがサービスの魅力を伝えるPR書類になります。
契約書は「仕事のマニュアル」でもあります。
契約書に書かれている約束を実際に実行するのは、自社の社員です。業務範囲、納期、報告方法、情報管理、追加業務への対応、トラブルが発生した場合の対応など、契約書には仕事を進めるためのルールが書かれています。つまり、契約書をきちんと作ることは、お客様との約束を決めると同時に、社員の仕事の進め方を決めることでもあります。
そして、
契約書は「営業のゴールとなる書類」です。
営業マンの仕事を突き詰めれば、お客様に商品やサービスの価値を理解していただき、納得して契約書に印をいただくことです。
どれだけ素晴らしいパンフレットを作り、丁寧なプレゼンテーションを行っても、最後に提示された契約書がお客様に不安を与える内容であれば、それまで積み上げてきた営業活動を台無しにしてしまうことがあります。
だからこそ、契約書は営業部門とも無関係ではありません。「この内容なら安心して契約できる。」そう思っていただける契約書を作ることは、営業活動そのものなのです。
契約書という一つの書類を、法律文書という視点だけで見るのはもったいないと思います。
サービス説明書であり、サービスPR書類であり、社員が仕事をするためのマニュアルであり、そして営業活動のゴールとなる書類です。
だからこそ、契約書には、その会社のビジネスそのものが詰まっています。
良い契約書を作ることは、良いビジネスの仕組みを作ることにつながります。
ブルーバード行政書士事務所では、法律上必要な条項を整えるだけでなく、サービス内容、営業、実際の業務運用まで考えた契約書づくりを大切にしています。
契約書を「法律のための書類」から「ビジネスに活かす書類」へ。
契約書の作成・見直しについて、お気軽にブルーバード行政書士事務所までご相談ください。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 契約書、法律
2026年08月24日
事業計画は誰のために作るのか
起業するとき、事業計画を作成する大きなきっかけの一つが資金調達です。金融機関から融資を受けるために事業計画書を作る。もちろん、それは重要な目的です。しかし、事業計画は本来、金融機関に見せるためだけに作るものではありません。最も活用すべきなのは、経営者自身です。
起業前には、「こんな事業をやりたい」「こんなお客様に利用してもらいたい」「これくらいの売上を目指したい」と、さまざまな構想があります。しかし、頭の中で考えているだけでは、それぞれの考えが本当につながっているのか分かりません。文章と数字にして初めて、矛盾や不足している部分が見えてきます。
誰に商品やサービスを提供するのか。どのような価値を提供するのか。なぜお客様は自社を選ぶのか。いくらで販売するのか。どのようにお客様を集めるのか。そのためにいくら必要なのか。毎月どの程度の売上が必要なのか。こうしたことを一つずつ具体化していくのが事業計画です。
特に重要なのが「数字」です。「たくさん売りたい」では計画になりません。例えば年間1,200万円の売上を目指すのであれば、月平均100万円です。平均単価が10万円なら毎月10件の売上が必要になります。では、10件の契約を獲得するために何件の商談が必要なのか。その商談をつくるために、何をするのか。数字にすることで、目標が具体的な行動へ変わります。
そして、事業計画は未来を正確に予測するものではありません。起業前に作った計画どおりに事業が進むことの方が珍しいでしょう。だから、「どうせ計画どおりにならないから作っても意味がない」と考えるのは逆です。
計画があるから、現実との違いが分かります。予定より売上が少ない。思った以上に経費がかかっている。想定していた商品ではなく、別の商品が売れている。予想していなかったお客様から問い合わせが増えている。計画と現実を比較することで、「何が違ったのか」「なぜ違ったのか」「次に何を変えるのか」を考えることができます。
つまり、事業計画は「計画どおりに経営するためのもの」ではありません。「計画と現実の違いを知り、次の判断をするためのもの」です。
事業計画には、もう一つ大切な役割があります。それは、経営者自身の覚悟を確認することです。売上目標を書けば、その売上をどう実現するのかを考えなければなりません。人を採用すると決めれば、その人の給与を払い続ける責任が生まれます。設備投資をするなら、その投資をどう回収するのかを考える必要があります。数字にすることで、「やりたいこと」が「経営すること」へ変わっていきます。
そして、事業計画は一度作って終わりではありません。事業を始めれば、お客様も市場も自社自身も変化します。計画を見直し、実績と比較し、必要なら修正する。その繰り返しによって、事業計画は現実の経営に使えるものになっていきます。
事業計画は、金融機関に提出して融資を受けたら役目を終える書類ではありません。まして、立派な文章を書くことが目的でもありません。
どこへ向かうのか。そのために何をするのか。どれだけのお金が必要なのか。そして、今どこまで進んでいるのか。
それを経営者自身が確認するためのものです。
事業計画は未来を当てるための予言書ではありません。実現したい未来を具体化し、そこへ近づくための設計図です。だからこそ、起業するときだけでなく、事業を続けていく中でも事業計画を活用することが重要です。
【ブルーバードビジネスデザイン株式会社からのお知らせ】
ブルーバードビジネスデザイン株式会社では、起業支援、法人設立支援、ビジネスモデルの構築、事業計画策定、契約書・規約作成などを通じて、事業の仕組みづくりを支援しています。事業計画についても、書類を完成させることだけを目的とせず、「どのような事業をつくり、どのように実現するのか」を整理し、実際の経営に活用できる計画づくりを大切にしています。
【『起業のための100問100答』発売中】
事業計画を作ろうとしても、「何を考えればよいのか」が分からなければ、数字だけを並べた計画になってしまいます。『起業のための100問100答』は、事業の目的、顧客、商品・サービス、価格、営業、資金、法人化など、起業に必要なテーマを100の問いで整理した実践ガイドです。問いに答えながら自分の考えを整理することで、事業計画の土台づくりにも活用できます。
【『共同経営のための100問100答』発売中】
共同経営では、事業計画を共同経営者同士で共有することがさらに重要になります。目指す会社の姿、事業の方向性、役割、投資、報酬、利益の考え方などが違えば、後になって大きな問題につながります。『共同経営のための100問100答』は、人とお金と仕組みを整え、共同経営者同士の考えを具体化するための実践的なコンテンツです。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 起業相談
2026年08月21日
AI時代の働き方改革──人間は「休む」ことで力を発揮する
機械は24時間働くことができます。
もちろん保守やメンテナンスは必要ですが、基本的に機械が停止している時間は、生産活動を行っていない時間です。そのため、機械の稼働率を高めることは、生産性向上の重要な考え方の一つとされてきました。
そして産業社会では、人間にもこれと似た働き方が求められてきました。
長く働く。休まず働く。決められた作業を正確に繰り返す。一定時間にできるだけ多くの仕事を処理する。
人間にも、機械のような高い「稼働率」が求められてきたとも言えます。
しかし、人間は機械ではありません。
機械にとって休止は基本的に「停止」ですが、人間にとって休息は、単なる停止ではありません。
睡眠中にも脳や身体ではさまざまな活動が行われています。睡眠は、記憶の整理や定着、認知機能や感情の調整、身体の回復などに重要な役割を果たします。
また、人間の創造性や問題解決では、一つの課題からいったん離れることが有効に働く場合があります。
仕事から離れる。散歩する。別のことをする。眠る。
一見すると「何も生産していない時間」が、その後のひらめきや問題解決につながることがあります。
機械にとっての休止は「生産の停止」。
人間にとっての休息は「回復・整理・再構築の時間」。
ここには大きな違いがあります。
人間の活動と休息は、「呼吸」に例えることができます。
息を吸い続けることができないように、吐き続けることもできません。
吸って、吐く。
その繰り返しによって、私たちは活動を続けています。
働くことと休むことも同じです。
集中して働く。
仕事から離れる。
脳と身体を整える。
そして、また働く。
休むことは、働くことの反対ではありません。
働くことと休むことは、人間が力を発揮し続けるための一つの循環です。
そしてAIの発達によって、この違いはさらに重要になっています。
速く処理する。大量の情報を整理する。決められた作業を繰り返す。文章や資料をつくる。一定のルールに基づいて判断する。
こうした領域では、AIや機械が急速に能力を高めています。
さらにAIは、「感情労働」の一部にも入ってきています。
相手に合わせた言葉を選ぶ。
共感する文章をつくる。
不安な人を励ます。
丁寧な接客の受け答えを考える。
こうした一定のパターンに基づく表面的な感情労働であれば、AIでもかなり対応できるようになっています。
AIは、優れた「脚本」をつくることができます。
相手の状況を分析し、どんな言葉を使い、どのようなストーリーで伝えればよいのかを考えることもできます。
しかし、その脚本を現実の人間関係の中で「演じる」のは人間です。
相手の表情を見る。
声の変化を感じる。
言葉にならない空気を読む。
予定していた言葉をあえて言わない。
その場で考え、対応を変える。
そして、相手のために実際に行動する。
そこには、人間だからこそ生まれる「わざわざ」があります。
わざわざ時間をつくる。
わざわざ会いに行く。
わざわざ話を聞く。
わざわざ一緒に考える。
頼まれていなくても、相手のためにもう一歩動く。
効率だけを考えれば、省略できることかもしれません。
しかし人間関係では、
「自分のために、わざわざしてくれた」
という事実そのものが、信頼や安心、感謝につながります。
効率化が進むほど、非効率に見える「わざわざ」の価値が、むしろ高まる可能性があります。
AIが脚本をつくる。
人間が演じる。
そして現実の相手と向き合いながら、脚本にはない行動をする。
これも、AIと人間の新しい役割分担の一つです。
そして、人と本気で向き合うためにも休息が必要です。
疲れ切った状態では、相手の小さな変化に気づくことも、もう一歩踏み込んで考えることも難しくなります。
舞台に立ち続けることはできません。
良い演技をするためには、舞台を降りて自分自身に戻る時間も必要です。
だから「休み方改革」は、単なる福利厚生や休日を増やすという話ではありません。
休息によって脳と身体を整え、判断力や創造性を発揮し、人と丁寧に向き合える余白をつくる。
AI時代の働き方改革とは、AIを使って人間がさらに忙しくなることではありません。
AIや機械に任せられることは任せる。
人間は、考える。決める。創造する。人と向き合う。
そして、ときには誰かのために「わざわざ」動く。
そのために、きちんと休む。
機械には機械の働き方を。
人間には人間の働き方を。
AIが発達するからこそ、人間が機械のように働くことから離れ、本来の人間らしい働き方へ戻っていく。
「働き方改革」と「休み方改革」は、呼吸のように一体のものとして考える時代になっています。
ブルーバードビジネスデザイン株式会社
ブルバード行政書士事務所
NPO法人ブルーバード
posted by itoh_gyosei at 00:00| 事業経営
2026年08月19日
契約書で重要なポイント「いつ辞めることができるか?」
契約書を確認するとき、金額や業務内容とともに、必ず確認しておきたい重要なポイントがあります。それは、「この契約は、いつ辞めることができるのか」ということです。
いつでも中途解約できる契約であれば、自社が契約に拘束されるリスクは小さくなります。しかし、相手にとっても同じ条件であれば、相手から契約を終了される可能性があります。
逆に、3年、5年など長期間の契約にすれば、取引の安定性は高まります。その一方で、事業環境や相手との関係が変化しても、簡単には契約を終了できない可能性があります。だからこそ、契約期間と中途解約の条件は、自社の事業方針に合わせて考える必要があります。
ここで注意したいのが、「契約期間を定めなければ、その契約はずっと有効になる」という考え方です。
例えば、業務請負契約を考えてみます。請負契約は、請負人が仕事を完成させ、注文者がその結果に対して報酬を支払うことを基本とする契約です。民法第641条では、請負人が仕事を完成しない間は、注文者は損害を賠償して契約を解除できるとされています。つまり、契約書に終了時期を書かなければ、注文者を永遠に契約へ拘束できるというものではありません。
もう一つ、コンサルティング契約のような委任・準委任型の契約を考えてみましょう。民法第651条では、委任は各当事者がいつでも解除できることを原則としています。ただし、相手方に不利な時期に解除した場合などには、損害賠償が必要となる場合があります。
例えば、「毎月10万円で経営コンサルティングを継続する」という契約を結び、契約期間や解約方法について何も定めていなかったとします。「期間を書いていないから、ずっと毎月10万円の契約が続く」と考えるのは危険です。契約の内容が準委任として扱われるのであれば、民法上の解除に関する規定が関係してきます。
ここが契約書を作るうえで重要なところです。長く取引を続けたいのであれば、期間を書かないことで実現するのではなく、「契約期間は1年間とする。」「期間満了の1か月前までに申し出がなければ、さらに1年間更新する。」「契約期間中であっても、3か月前までに通知することで中途解約できる。」など、自社が望む契約の続け方と終わり方を契約書に定めておくことが大切です。
もちろん、どのような中途解約条項を定めることができるかは、契約の種類や内容、適用される法律などによって異なります。重要なのは、「期間を書かなければずっと続く」と考えるのではなく、契約を始める段階で、「いつまで続けるのか。」「途中で辞められるのか。」「何日前までに通知するのか。」「相手から辞められた場合はどうするのか。」「契約終了時の精算はどうするのか。」まで考えておくことです。
契約期間を長くすることにも、いつでも辞められるようにすることにも、それぞれメリットとリスクがあります。大切なのは、その契約の「終わり方」が、自社の事業の目的や思惑と一致していることです。
契約書は、契約を始めるためだけの文書ではありません。「いつ辞めることができるのか。」ここまで決めておくことが、契約書を作るうえで非常に重要なのです。
ブルーバード行政書士事務所では、契約書の作成・チェックにおいて、契約期間、中途解約、自動更新、解除、契約終了後の取扱いなど、実際の事業運営を踏まえた契約設計を大切にしています。
契約書の作成・見直しについて、お気軽にブルーバード行政書士事務所までご相談ください。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 契約書、法律
2026年08月17日
事業は絞る。しかし、可能性まで絞らない
起業するとき、「事業はできるだけ絞った方がよい」と言われることがあります。これは基本的には正しい考え方です。起業当初は、人もお金も時間も限られています。あれもこれもと手を広げれば、営業も情報発信も投資も分散し、結局何も育たないということが起こります。
特に避けたいのが、「何でもやります」という事業です。何でもできることと、何でもやることは違います。「何でも相談してください」「できることは何でもやります」では、お客様から見て何を頼めばよい会社なのか分かりません。自社の強みも伝わりにくくなります。
例えば、「中小企業の事業の仕組みづくりを支援する」「飲食店の開業を支援する」「製造業のDXを支援する」など、まず自分たちが何のために存在し、誰にどのような価値を提供するのかという軸を明確にする必要があります。
一方で、絞りすぎることにも注意が必要です。「○○専門」と打ち出すことは、専門性が伝わりやすく、営業上大きな強みになります。しかし、お客様から見れば、「それ以外はやってもらえない会社」と受け取られる可能性もあります。
実際には対応できる仕事であっても、「専門ではないから相談するのをやめよう」とお客様自身が判断してしまうことがあります。専門性を明確にすることは重要です。しかし、専門性を打ち出すことと、自ら可能性を閉ざすことは別です。
また、起業前に考えた事業が、そのまま市場で最も評価されるとは限りません。実際に事業を始めると、「こんなことをお願いできませんか」と、想定していなかった相談を受けることがあります。そこに、新しい事業の種が隠れていることがあります。
最初から「これは自分の事業ではない」と切り捨ててしまえば、その可能性には気付けません。もちろん、依頼されたことを何でも引き受ければよいという意味ではありません。重要なのは、「自分たちは何をする会社なのか」という軸を持ったうえで、その軸につながる新しい可能性には柔軟でいることです。
何でもやります、では弱い。○○しかやりません、でも狭すぎる。大切なのは、その間に自社らしい事業領域をつくることです。
そして、事業を続けながら、お客様の反応を見る。求められているものを知る。得意なものを伸ばす。利益が出るものを見極める。そして、少しずつ事業を絞り込んでいく。
事業を絞るとは、最初から可能性を捨てることではありません。限られた経営資源をどこに集中するのかを決めることです。
「何でもやります」ではなく、自分たちの軸を明確にする。しかし、その軸の周りに生まれる新しい可能性には、いつでも目を開いておく。
事業は絞る。しかし、可能性まで絞らない。そのバランスが、事業の強みをつくり、新しい成長の機会にもつながります。
【ブルーバードビジネスデザイン株式会社からのお知らせ】
ブルーバードビジネスデザイン株式会社では、起業支援、法人設立支援、ビジネスモデルの構築、事業計画策定、契約書・規約作成などを通じて、事業の仕組みづくりを支援しています。「何をするのか」だけでなく、「何を強みにするのか」「どこまで事業を広げるのか」「何をやらないのか」まで含めて、事業全体を一緒に考えます。
【『起業のための100問100答』発売中】
起業では、何を事業にするのかを決めることが重要です。しかし、それ以上に重要なのは、なぜその事業を行うのか、誰にどのような価値を提供するのかを明確にすることです。『起業のための100問100答』は、100の問いを通じて、自分の事業の軸を整理し、具体的なビジネスへ落とし込むための実践ガイドです。
【『共同経営のための100問100答』発売中】
共同経営では、それぞれが得意なことを持ち寄れる一方、事業領域が広がりすぎることもあります。『共同経営のための100問100答』は、事業の方向性、役割、権限、意思決定、お金などを整理し、人とお金と仕組みを整えるための実践的なコンテンツです。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 起業相談
2026年08月14日
シャドーAI対策は必至〜会社が決める前に、社員はすでにAIを使っている〜
生成AIの活用が急速に広がっています。
中小企業においても、「AIを導入するかどうか」を検討する段階から、「会社としてAIをどう活用するか」を考える段階に入っています。
ここで経営者が注意しなければならないのが、「会社が方針を決めるまで、社員もAIを使っていない」とは限らないことです。
会社が正式にAIを導入していなくても、社員が個人的にChatGPTなどの生成AIを使い、メールの文章を作ったり、資料を要約したり、企画のアイデアを出したりしている可能性があります。
会社や管理者が把握・承認していない状態で、社員が業務にAIを利用することを「シャドーAI」と呼びます。現在では、企業におけるAI活用を考えるうえで重要な問題の一つになっています。
シャドーAIが生まれる理由は、必ずしも社員に悪意があるからではありません。
「仕事を早く終わらせたい」
「分からないことを調べたい」
「文章をうまくまとめたい」
「便利だから使っている」
むしろ、仕事を効率化しようという前向きな行動から始まる場合もあります。
問題は、会社がその利用を把握していないことです。
例えば、社員が顧客情報、社内資料、契約内容、売上データ、個人情報、技術情報などを、会社が認めていないAIサービスに入力してしまう可能性があります。
また、AIが生成した内容を十分に確認せず、そのまま社外文書や業務上の判断に使用してしまうことも考えられます。
シャドーAIには、情報漏えい、コンプライアンス違反、セキュリティ上の問題、利用状況を会社が追跡できないといったリスクがあります。
だからといって、「会社でAIを禁止する」という対応だけでは十分ではありません。
AIはすでに身近な仕事道具になっています。
便利なものを全面的に禁止すれば、かえって会社から見えないところで利用される可能性もあります。
大切なのは、禁止することよりも「会社としてどう使うか」を決めることです。
例えば、
・会社として利用を認めるAIサービスを決める
・AIに入力してよい情報、いけない情報を決める
・個人情報や機密情報の取扱いを明確にする
・AIが作成した内容をどのように確認するかを決める
・業務での活用事例を社員同士で共有する
・社員にAI利用についての教育を行う
・AI利用に関する社内ルールを作る
こうした基本的な仕組みを整えることが第一歩です。IPAの生成AI導入・運用ガイドラインでも、組織での利活用ルールやガイドラインを策定し、文書化することが示されています。
経済産業省・IPAの「AI事業者ガイドライン」も、AIの便益を活かしながらリスクを抑えるためのAIガバナンスの重要性を示しています
会社がAIについて何も決めていないことも、一つのリスクです。
特に中小企業では、経営者が知らないうちに社員が便利なAIを見つけ、仕事に使い始めていることは十分に考えられます。
まずは社員に「仕事でAIを使っていますか?」と聞いてみることから始めてもよいでしょう。
そこで利用実態を把握し、禁止から考えるのではなく、安全に、そして積極的に活用するためのルールを整える。
シャドーAI対策は、AIを使わせないための対策ではありません。
AIを会社の力として活かしていくための仕組みづくりです。
【ブルーバード行政書士事務所】
契約書・規約・社内規程・各種ルールなど、事業運営に必要な文書の作成と運用を支援しています。
AI利用に関する社内ルールや規程の整備についてもご相談ください。
【ブルーバードビジネスデザイン株式会社】
AIの業務活用、DX、業務改善、社内の仕組みづくりなど、中小企業がAIを実際の経営や業務に活かすための支援を行っています。
AIを「使うか、使わないか」ではなく、「会社としてどう使いこなすか」を一緒に考えます。
posted by itoh_gyosei at 00:00| 事業経営
2026年08月12日
社労士と行政書士、会社の規程・契約書は誰に相談する?
会社を経営していると、就業規則、賃金規程、育児・介護休業規程、雇用関係の書類、秘密保持契約書、業務委託契約書、取引基本契約書、利用規約など、さまざまな規程や契約書が必要になります。
ここで分かりにくいのが、「社労士と行政書士のどちらに相談すればよいのか」という問題です。
基本的には、労働・社会保険諸法令に基づく手続や書類、労務管理に関する分野は社会保険労務士の専門領域です。就業規則や賃金規程など、労働条件や人事労務に関係する規程についても、社労士が中心となって対応する分野です。
一方、行政書士は、権利義務に関する書類の作成を専門業務の一つとしています。取引基本契約書、業務委託契約書、売買契約書、秘密保持契約書、各種利用規約など、企業と企業、企業と顧客などの間の権利義務を定める契約書や規約は、行政書士が取り扱う代表的な分野です。
しかし、実際の会社経営では、この二つの分野が関係する課題も多くあります。例えば、会社の情報管理体制を整える場合、社員に対する秘密保持や情報管理のルールと、取引先との秘密保持契約の両方を考える必要があります。ハラスメント対策でも、就業規則などの労務管理だけでなく、相談体制、社内運用、研修、外部事業者との契約など、会社全体の仕組みとして考えることが大切です。
会社にとって重要なのは、最初から「これは社労士に頼む仕事か、行政書士に頼む仕事か」と切り分けることではありません。
まず、「会社として何を実現したいのか」を考えることです。
そこで、ブルーバードビジネスデザイン株式会社では、経営・事業・組織運営に関するコンサルティングとして、会社の課題を総合的に整理し、必要な制度、ルール、業務フロー、文書などの仕組みづくりを支援しています。
そのうえで、社会保険労務士法に基づき社労士が担当すべき業務は社会保険労務士が担当し、行政書士法に基づき行政書士が担当する業務は行政書士が担当します。
つまり、ブルーバードビジネスデザイン株式会社が士業の独占業務を行うのではなく、コンサルティングとして全体を設計・支援し、それぞれの資格に基づく専門業務は、それぞれの士業が適法に担当する体制です。
例えば、
「人事制度を見直したい」
「社員との情報管理ルールを整えたい」
「新しい事業を始めるので、社内ルールと顧客との契約を一緒に整えたい」
「ハラスメント対策を規程だけでなく、相談体制や研修まで含めて構築したい」
といった相談では、一つの専門分野だけで考えるより、事業や組織全体から考えた方が実際に使える仕組みを作りやすくなります。
会社が本当に必要としているのは、「就業規則」や「契約書」という文書だけではありません。
社員が安心して働き、お客様や取引先とも安心して取引できる仕組みです。
ブルーバードビジネスデザイン株式会社では、まずコンサルティングとしてその仕組みを一緒に考えます。そして、士業による専門業務が必要な部分については、それぞれの資格者が法令に基づいて担当します。
「これは社労士に相談するのか、行政書士に相談するのか分からない」という段階でも構いません。
会社として何を実現したいのか。そこから一緒に整理し、必要な専門家と必要な仕組みを組み合わせて支援します。
ブルーバードビジネスデザイン株式会社
ブルーバード行政書士事務所
NPO法人ブルーバード
posted by itoh_gyosei at 00:00| 契約書、法律