2010年06月02日

独占禁止法 優越的地位の濫用

(毎日JPより引用)
取引上の立場が弱い納入業者に対し不当な値引きや従業員を店舗に派遣させるなどしていたとして、公正取引委員会は5月18日、独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで岡山市のスーパー「山陽マルナカ」を立ち入り検査した。1月施行の改正独禁法で「優越的地位の乱用」も課徴金の適用対象となり、施行後この容疑での立ち入り検査は初めて。
上記の記事文面にある「独占禁止法(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)の「優越的地位の濫用」」とは、独占禁止法で禁止する「不公正な取引方法」のひとつで、以下のように規定されています。(独占禁止法第2条第9項5号)

自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に、次のいずれかに該当する行為をすること。
イ 継続して取引する相手方(新たに継続して取引しようとする相手方を含む。ロにおいて同じ。)に対して、当該取引に係る商品又は役務以外の商品又は役務を購入させること。
ロ 継続して取引する相手方に対して、自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること。
ハ 取引の相手方からの取引に係る商品の受領を拒み、取引の相手方から取引に係る商品を受領した後当該商品を当該取引の相手方に引き取らせ、取引の相手方に対して取引の対価の支払を遅らせ、若しくはその額を減じ、その他取引の相手方に不利益となるように取引の条件を設定し、若しくは変更し、又は取引を実施すること。


独占禁止法 優越的地位の濫用規定は、独占禁止法の補完法である下請法(下請代金支払遅延等防止法)で、規定する11の禁止事項と内容的には重なるものです。

下請法が、厳格な適用基準(要件)が定められているのに対して、独占禁止法上の「優越的地位の濫用」は、「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に当該の行為をした場合」と規定されており、何をもって優越的な地位の濫用に当たるのかの判断が難しいものです。

しかしながら、上記の記事にあるように、発注者側は、その取引が下請法の対象外であっても、優越的な地位の濫用に当たる場合があるので注意が必要です。
逆に、販売者側にとっては、不公正の疑いがある取引が下請法の対象外であっても、独占禁止法の適用により、救済される場合があります。

(参考)役務の委託取引における優越的地位の濫用に関する独占禁止法上の指針(公正取引委員会ホームページです)



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公正取引委員会ホームページへのリンク掲載を追加しました(2011年2月12日)
posted by itoh_gyosei at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 契約書、法律
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