2023年04月04日
起業の際の法人化のタイミングについて
私は、起業支援や法人設立の仕事をしています。この仕事で、よく「いつのタイミングで法人化を考えたら良いか」との質問を受けることがあります。一般的には「ある程度利益が出たら法人化にすると良い」という意見が多いようですが、私はこの意見に反対です。
なぜなら、ほかっておいてある程度利益が出るまで待っていても、なかなか利益が出ないことが多いからです。起業は、初めから順調に利益が出るわけではありません。むしろ、赤字続きで苦労することも珍しくありません。そのような状況下で、利益が出るまで待ってから法人化するというのは、あまり現実的ではありません。法人化することで、事業に対する覚悟が変わります。
そこで私が提案するのは、利益が出たら法人化するのではなく、利益を出すために法人化するという考え方です。法人化によって、企業としての信頼性や信用力が高まり、新規顧客の獲得や既存顧客の信頼度の向上が期待できます。また、法人化によって法的な保護や税制上のメリットが得られるため、利益を出すための基盤としても役立ちます。
また、法人化は一度行えば、その後の経営環境の変化にも柔軟に対応できるため、将来的なリスク管理にも繋がります。例えば、個人事業主であった場合、経営者本人が借金や訴訟問題などの責任を負うことになりますが、法人化することで企業が責任を負うことになるため、経営者本人のリスクが軽減されます。
さらに、法人化には、事業拡大やM&Aなどの経営戦略的な側面もあります。法人化した企業は、株式発行や投資家の誘致など、資金調達の選択肢が広がり、事業の成長を加速させることができます。
以上のように、法人化は利益が出たらするものではなく、利益を出すためにするものであると考えることが大切です。起業を考えている方は、早めに法人化を検討し、経営の基盤を整えることが重要です。また、法人化については、専門家のアドバイスを受けることが望ましいです。法人化には、設立手続きや法律的な手続き、税金に関する手続きなど、多岐にわたる専門知識が必要とされます。そのため、法人設立の専門家に相談することで、スムーズな法人化ができるでしょう。
最後に、法人化を検討するタイミングは、事業のステージや経営目標に合わせて選ぶべきだということを強調したいと思います。個人事業主であっても、法人化によって経営のリスク管理や成長戦略を実現することができます。起業を考えている方は、法人化についても積極的に検討し、成功するための環境を整えることをお勧めします。
posted by itoh_gyosei at 00:20| 起業相談